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しかしこの最低一ヶ月の不在は私にとって、減速装置よりも重い一時停止なのである。


突然私の身に起こった、4日間にわたる飛行機の旅。そしてもし、叶うことなら。翼ではなく今、自分の足で歩いていたかった。熱い風の中を下から見上げていた町並みが見る見るうちに地図を広げたような形になっていく。そして、多量の埃で水平方向の視界はひどく悪い。薄く曇っているか霞がかっているようにきれいに見渡せないでいるのは、今の自分たちの状況と似ている…なんて思ってみる。
太陽光と密集した人々の体温のためにさっきまで非常に暑く、搭乗者たちの全身に汗を滝のように流れさせていた機内の空気はいまや、エアコンがよく効いていて寒いくらいになっている。窓際に座っているビジネスマンは新聞を広げ、黙々と読んでいる。それをちらと横目で見れば、私たちを突然の空の旅へと誘った事件の一部始終を物語るイメージ――妙に閑散としたガソリンスタンドに詰め掛け、行列をなす人々をとらえた写真――を見ることができる。それは昨日私も、実際にこの目で見た光景だった。が、今私が問題にしたいのはその事件ではなく、私が自分のためにと頭上の棚から引っ張り出した2紙ともを隣の彼が「私も見てよろしいか」と言い、両紙ともがっちりつかんで手離そうとしそうにないという現実だ。なぜ彼は2紙とも取ってしまったのか。入国カードの記入に夢中になっていた私が悪いのだろうか。
いいのだ、もし彼が返してくれなかったとしても、私たちの頭上には全く同じものが何十部とつまれている…と考えながらその頭上を見あげると、折りしもキャビンアテンダントがその棚を空け、何十部というその束を取り出そうとするところであった。私の思念が強すぎて彼女に伝わってしまったのか…私は再び立ち上がることなくまんまとその2紙を手にすることができてしまった。

ことの発端は、と言えば。一体どこまで遡ればいいのだろうか。ミクロの視点で見たにしろ少なくとも、1ヶ月は遡る。が、決定付けたのは昨日の昼にかかってきた一本の電話だった。こうなることを予想していたものの、誤算だったのはこんなにも早く、という点だ。事務的な口調で受話器から聞こえたそのアナウンスは、私を一気に焦らせた。
「隊員は一時、非難します。孤立を避けるため、できるだけ早く首都に上がってきてください。」
焦っている気持ちとは全く別に、この言葉のために急ぐことにもなってしまい、隣人とガルディアンに助けてもらいながら家と荷物を急いで片付けたり準備し、そうして飛び乗ったのは2時半にゾルゴを出発するバスだった。諸事情から、ろくにみんなに挨拶もできないまま、駅に見送りに来てくれた隣人二人にだけはおおよその事情としばしの別れを告げあわただしく出発した。
順調に幹線道路を走りぬけて関所を通り、首都に入ったバス。問題なく、いつもどおりに2時間で首都の駅に着くだろうと思ったその瞬間だった。が、バスは期待を裏切り、工事中の道路の隣に設けられた仮設の道に踏み込む。この道が何発ものボディーブローを連続で私の原に決めてきて、軽くない吐き気をもよおさせる。ただのむき出しの地面ではない。50mおきに減速装置が設置してあるのだ。そしてバスの後輪の真上に陣取った私に対する衝撃に、バスの運転手はあまりにも無頓着であった。規則的にほぼ15秒おきにうめき声を発しながら必死にシートにしがみつき、それでも確実に目指す隊員ドミトリーは近づいていた。
この旅立ちの、気分は最悪だった。

(続く)

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