スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『日本語か英語か、それが問題だ。』


ブルキナべに囲まれて9ヶ月ほどを過ごしたある日、何気ない会話の中で、一番ショックを受けた一言に出会った。
「日本の公用語は英語じゃないの?」


ブルキナベと日本の話になったときに、日本の知識がある程度はある人が多い。学校で日本のことをある程度は勉強するみたいだし、車やバイクや電化製品の有名なメーカーがブルキナにも進出していて、ブルキナベたちにとっても普段の生活の中で身近に感じることのある国ということなんだと思う。ただ、実際に日本に行ったことのある人がたくさんはいないこと、加えてブルキナという国を基準に考えるところから誤解をしている部分と言うのは多分にあって、そういうブルキナベたちと会話していて私が一番気になるのは、「日本ではみんな日本語をしゃべっているよ」というと、みんな一様に驚くことだ

日本と言う国で生きていくのに、日本語ひとつがあれば十分と言う事実は確かに、ブルキナベやその他の多言語(多民族)国家の人々にとっては不思議な事実かもしれない。ブルキナの場合、民族が60あまりもあって、現地語もいくつもある。一番主なのはモレ語だけれど、西側ではデュラ語とかボボ語、東の民族はフルフル語をしゃべったりする。それらはお互いに方言のように同じ単語、文法で語尾がちょっと違う、というものではなくて本当に別言語。そしてラジオなんか聞いていると、そういう主だった現地語のチャンネルがある。もちろん公用語としてはフランス語があり、テレビのニュース番組なんかはほとんどフランス語。

そういうブルキナべにしてみれば、日本の言語情況というのはちょっと変わっているのかもしれない。確かに、「どうして日本語しかないの?」とか「公用語は英語じゃないの?」という疑問がわいてくる余地と言うのは…あるのかもしれない。ブルキナの公用語がフランス語になったのは、フランスの植民地になったからなワケで。もしもフランスの植民地にならずに近代国家になったとしたら、文字はアルファベットを入れたかも知れないけれど言葉としてはモレ語か何かを選んだかもしれない。
まぁ「もしも」は置いておいて、西アフリカの小さな一国として、あるいは一地域として、そうやってフランスの植民地時代を過ごし、フランスの言語、文化、政治体系などを取り入れて、現地語、母語というものはそれとしてあれど学校ではフランス語を習い、公式の場ではフランス語でコミュニケーションをとっている人々にとってのフランス語、あるいはヨーロッパ言語の存在感というのは以外に大きいのかもしれない。「ブルキナにはモレ語があるんだ。モレ語をしゃべるんだ。」と大きな声で言う人はいる。だけれど一方で、ヨーロッパ言語が世界のコミュニケーションツールとして席巻していることを、まず誰よりも感じているのかもしれない、この人たちは…と思った。

戦争をやっていた時代に外国語を学校などで学んだ人たちの文章を読むことが時々ある。すると、今とは状況が全く違うことが分かる。今の日本の学校では、小学校から高校まで英語、英語、英語だ。大学でも英語が必修のケースは多いと思うし、その他の場面でも外国語を勉強するといったらまず英語と言うイメージだったりする(TVの外国語講座のCMとか)。ところが敗戦前。英語は主流ではなかった。かといって何語が主流だったと言うわけでもなさそうだけれど、世界の主だった国々の言葉は広く学ばれていた。戦争をする相手の国の言語はよく学んでいたという話を聞くが、日露戦争前後はロシア語が多かったとか、陸軍ではドイツ語とフランス語をやって、英語は海軍のものと言うイメージだったとか、なかなかに興味深い。文化人類学的には同価値であるのかもしれないけれど、市場の原理からちゃんと優劣はつけられている。
今、日本で英語をまず勉強するのは、おおよそ二つのファクターによると思う。一つ目はアメリカとの密な関係、いまひとつはネットワーク外部性(共有することで価値が上がる、例えば電話。自分だけ持ってても価値ないでしょ)。敗戦後、アメリカに占領・統治され、独立後も日米安保など、政治的にも経済的にもアメリカとの関係が日本にとって最重要であること。それから、アメリカが世界の主導権を握ったことで英語のプライオリティが上がり、米ドルのようなもので、世界中のみんなが英語を学び、こちらも英語を学べば世界中のいろんな人とコミュニケーションが簡単に取れると言うこと。

そういう状況を考えたら日本も、日本語を話すのが当たり前の状況ではないのかも知れないなぁと、考えて見る。
一度占領されたと言う事実がある、第一外国語としてはほとんどの日本人が英語を学ぶ。そういう事実はある。だから、同様にフランスの植民地になり、フランス語を勉強してフランス語を公用語としている人たちが、日本についても日本語ではなく、英語を公用語としていると誤解するのも不自然な話ではないかも知れない、と思った。
私は、日本で胸を張って日本語を話し、書き、読み、聞くことができる状況というのが改めてものすごく幸せなことかも知れないと思う。外国人だって、日本に来たらとりあえず日本語を挨拶だけでも勉強して、日本語を話そうとしてくれる。ブルキナに来て私は基本的にフランス語。「だって公用語でしょ」と思っていたけれど、意外な一言からブルキナベたちの受難が読み取れたのかも知れない。
スポンサーサイト

| そば屋さんちのふろふき大根 ホーム |

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
http://karehausagi.blog38.fc2.com/tb.php/418-7c05a7ad
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザーのみ)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。